以下は弊社での日本語訳です。
日本に滞在すればするほど、富士スピードウェイや鈴鹿サーキットのような有名サーキットよりも小さくてローカルなサーキットに足を運んでいることに気付かされる
決して有名サーキットに対する悪意はないのだが、こうした小さな場所には何か特別なものがあるように感じる。茂原サーキットやスポーツランド山梨のようなサーキットはどこも草の根の思想を構えている。それは単に自己ベスト更新に挑戦したりトラックレコードを破ることがゴールではなく、「純粋に楽しむこと」に重きを置いているということだ。
友人や同じ趣味を共有する者同士でモータースポーツを楽しむ感覚はまさに「トン百クラブ」が持つ前提思想だ。
この話に入る前に、ヒーローしのいサーキットについて少し話をしよう。
日光サーキットから約20分程度の場所に位置するヒーローしのいサーキットは全長1.35kmでスプリントタイプのどういう訳か外界から閉ざされているような雰囲気のサーキット場だ。山梨スポーツランドに似たこのヒーローしのいサーキットは、森に包まれとても絵になる背景だ。そして実質どこにもエスケープエリアはなく、スピードには慎重にならなければならないコースだ。
短いながらも「峠」を走っているような感覚に陥るコースでそこに草の根感だけが足されたような感じだ。初めに訪れるヘアピンのカーブと高低差はドライバーに楽しみとドキドキ感を与えてくれる。
さて、なぜ私がこんな所にいるかと疑問に思っているだろう。先月、畑野自動車のワイルドなDelta Fenice 105のシェイクダウンイベントを追うべくヒーローしのいサーキットを訪れた時のことだったのだが、そこには注目すべき更なる別のことがひっそりと繰り広げられていたのだ。
「トン百クラブ」はDelta Fenice105プロジェクトのリーダでもある畑野自動車が率いる活動だ。クラブ名からも察することができるようにクラブの車両は1トン以下でなければならなく、さらに100馬力を超えてはならない。(注:実際には大体1トンあたり大体100馬力程度というレギュレーションで始まった)
そしてトン百クラブの車は高級車であるべきではなく、部品も高価なものに交換するべきではない。言ってみれば一般的な軽のスポーツカーのような感覚なので最も理想とする車たちではないかもしれないが、こうした車の価値は最近上がってきている上、取替部品もなかなか探せない状況になってきた。そんな状況は一切彼らの勢いを止めることなく、例えばこのHonda Beatのオーナーもその一人である。
Fiat Punto HGTはそんな活動に完璧にちょうどいい車だ。
彼らがPuntoを集め始める前までは15万円程度で買えてしまう車だったため、買いやすい車として位置付けられていた。エンジンやディファレンシャルやECUも在庫がありタイヤサイズも195/50R15に限られていた中で、トン百クラブ内ではいくつかの改造が可能だ。例えばインテークやマフラー、サスペンション、ブレーキを変えたり、極めているメンバーに関しては内装を剥がし、ロールケージやハーネスを付け加えたりしている。
あとは楽しむこと、安全であること、そしてドライバーとしての腕を磨くことに尽きる。
この動画は今年の初めに行われたトン百クラブの動画だが、驚くべきはしのいサーキットのレイアウトだけではなく小さなFiat同士のサイドバイサイドだ。BGMの軽快な音楽に騙されてはいけない。
この動画からは感じ取れなたった場合に備えて言っておくと、ドライバーたちに遠慮は無い。白熱するレースの中では皆オイルパンはそう長くはもたない上、時には互いがチョンと触れることもある。
誰も何が起こったのか分からずじまいだが、今回の走行会で1台のPuntoのドアヒンジがポキッと折れてしまったりもした。私の憶測で言わせてもらうと、ゼブラに乗っては跳ねを繰り返した結果なのではないだろうか。
(どのような場面においても)他の世界など気にすることなく、こうした手頃な車を限界まで運転することには何か特別なものがある、全ては仲間と競い合うことで本質的な楽しみとワクワクする経験を追求することの中にあるのだろう。ヒーローしのいサーキットのような所では尚のことだろう。次回は私もドライバーとして仲間に入れてもらうことはできないだろうか…
Ron Celestine