純正オプションのスポーツサスペンションが組み込まれています。従来のヴァンテージは路面凹凸に柔らかく＆細かく追従し、フラットでマイルドな乗り味を重視していた反面、大きな入力（ロングコーナーなど）にはバンプラバーを使ってコシを演出していました。このN430に追加されている「スポーツサスペンション」では始めから高いレートスプリングと減衰力で締め上げてあり、細かな切り返しにもロール少なく俊敏に反応し、底付き感のないクリアーな印象へとチューンされています。

カーボンバケットシートにカーボンダッシュトリム。アルカンターラステアリングなどレーシーな素材が散りばめられていながら丁寧なエレクトロンイエローステッチなどでブランドの持つ素材の良さなどを表現しきっているインテリア。なんと104万円のオプションBang&Olufsen Beosound 1000Wオーディオシステムが装備されています。

スポーツ走行でも充分に耐えうる剛性を持つカーボンファイバーライトウェイトシート。カーボンファイバートリムや随所に用いられたアルカンターラによってアストンマーティン らしい成熟したスポーツ性能のビジュアル化に成功している様に感じます。何よりも羨ましいのがロックトゥロックが3.04から2.62回転まで速められた事。今まで(4.3L比)FSWのAコーナーでは切り足しが必要だった局面でも脇の中に収まるイメージへ。

元々が飛ばされた形跡もなく大切にドライブされていたことが強く印象付けられる状態ですが、バンパー+ボンネット+Fフェンダー左右+Aピラーにはプロテクションフィルムが貼られています。

首都高などの中速域ではバランスの良さからくる「舐める様なハンドリング」の喜びが連綿と続き、高速域ではフロントミッドに搭載されたエンジンがリフトを抑え、ナーバスさが全く無いので高速ツーリングなどもお楽しみ頂けます。

380mmにまで拡大された2ピースブレーキローターと対向6ピストンキャリパーは初期タッチも滑らかで足裏に吸い付く様なブレーキタッチ。そしてそのままでサーキットに持ち込んでも必要十分な容量が確保されました。

ドライサンプ。フロントミッドシップV8にトランスアクスルなどカタログに表記されたこと以上に、VHプラットフォームの美しいアルミニウム構造材や、堅牢なM14ホイールボルトと強大なハブベアリング、そしてステアリングフィードバックに腐心したホイールオフセットなどなど。噛めば噛むほど好きになれる様なエンジニアリングをお楽しみいただけるヴァンテージです。

ドライサンプ、トランスアクスル、完全にストラットより内側に仕込まれたV8 etc...本気のパッケージながら、アストンマーティン独特の上質な世界観でドライバーを包んでくれるヴァンテージ。エンジン搭載の低さは見た目のインパクト以上にコーナリングへの影響が絶大で「まるでコマの様」とよく評されますが「まさに」の旋回フィールに思わず笑みが出ます。